「ESの添削、AIに無料でやってもらえないかな」——サマーインターンの準備を始めた28卒の方から、よく聞く相談です。結論から言うと、AIはES添削の下ごしらえにはかなり使えます。ただし、任せきりにすると逆効果になる部分もあります。
この記事では、現役の新卒エージェントの視点で、AI添削の具体的なやり方(プロンプト例つき)と、選考側から見た「AI任せのESがどう見えるか」、そして無料でできる現実的な手順をまとめます。
AIでES添削をする基本の流れ
ChatGPTやClaudeといった対話型AIは、無料で使える範囲があります。ES添削で使う場合、いきなり「添削して」と投げるより、役割・観点・出力形式を指定すると精度が上がります。
まず試してほしいのが、次のようなプロンプトです。
あなたは新卒採用の書類選考担当者です。以下のESを、①誤字脱字、②論理の飛躍、③一文の長さ、の3観点でチェックし、修正案とその理由を箇条書きで出してください。文章全体を書き換えるのではなく、指摘と修正案の提示にとどめてください。
ポイントは最後の一文です。「書き換えて」と頼むとAIが全文を作り直してしまい、自分の言葉が消えます。指摘と修正案にとどめるよう縛ると、自分で直す前提の添削になります。
さらに深掘りしたいときは、観点を分けて複数回投げるのが有効です。
このESの「学生時代に力を入れたこと」について、行動の描写が具体的かどうかだけを評価してください。抽象的な部分があれば、どんな情報を足せば具体的になるかを質問形式で返してください。
こうすると、AIが「そのとき何人のチームでしたか?」「具体的にどんな手順で進めましたか?」と問い返してくれます。この問いに自分で答えていくと、行動の解像度が自然に上がります。ES添削というより、壁打ち相手としての使い方です。
学チカそのものの骨子がまだ固まっていない段階なら、学チカ・ES自動生成ツールで先に構造を作ってから、AIで磨く順番のほうがスムーズです。
選考側から見た「AIっぽいES」の正体
ここが現役エージェントとして一番伝えたい部分です。AIに丸ごと書かせたESは、読み手にはかなり分かりやすく伝わります。理由は3つあります。
- 抽象的な言葉が多い: 「主体的に」「多角的に」「幅広い視野で」といった、中身のない形容が増えがちです
- どこか他人事に読める: 具体的な固有名詞や生々しいエピソードが薄く、優等生的な一般論になりやすい
- 他の応募者と似てくる: 同じAIに同じような設問を投げれば、出力も似通います。何百枚と読む選考側は既視感を覚えます
選考側は「うまい文章」を探しているのではなく、「この人がどんな人か」を知りたいのです。整いすぎて個性が消えたESは、減点はされなくても記憶に残りません。書類選考は加点で通過する勝負なので、これは大きな損失です。
だからこそ、AIの出力をそのまま提出するのではなく、必ず自分の言葉と具体的な事実に戻す工程が要ります。AIが整えた骨組みに、自分だけのエピソードの細部を戻していく。この作業はAIには代われません。
自分の強みが何で、それをどのエピソードで語るべきかがぼやけている場合は、自己分析診断で強みタイプを先に把握しておくと、AIとの壁打ちでもブレなくなります。
無料でできるES添削の手順
ここまでを踏まえた、無料でできる現実的な手順をまとめます。
- 骨子を作る: 無料ツールやSTAR構造を使って、状況・課題・行動・結果を先に整理する
- AIで構造チェック: 前述のプロンプトで、誤字・論理・一文の長さを指摘してもらう
- AIで壁打ち: 抽象的な部分を質問形式で洗い出してもらい、自分で答えて具体化する
- 自分の言葉に戻す: AIが整えた表現を、自分が実際に使う言葉・実際にあった事実に置き換える
- 人の目を入れる: 最後に第三者、できれば選考を知る人に見てもらう
この5ステップの1〜4は無料で完結します。問題は5です。AIは「その企業に合っているか」「この強みの見せ方でいいか」までは判断できません。企業ごとに求める人物像は違い、同じエピソードでも見せ方を変えるべき場面があります。ここは、選考の実情を知る人の視点が要る部分です。
AI添削の限界と、人が要る理由
AIは、誤字脱字・論理の整理・表現の言い換えといった「文章の技術面」には強い一方で、次の点は苦手です。
- その企業・業界が今どんな人材を求めているかの肌感覚
- 応募者の経歴の中から「どの経験を主役にすべきか」の取捨選択
- 面接で深掘りされたときに崩れない、地に足のついた表現かどうかの判断
これらは、実際に多くの候補者と企業を見てきた人だからこそ持てる感覚です。AIで下ごしらえを済ませ、最後の仕上げだけ人に頼る——この分担が、無料の範囲を活かしつつ質を上げる現実的なやり方だと考えています。
もう一つ、AIとの付き合い方で見落とされがちな点があります。それは、AIは「あなたの経歴の外側」を知らないということです。ESに書いた情報しか判断材料にできないため、「本当はもっと良いエピソードが別にある」という指摘はできません。実際に候補者と話していると、本人が「たいしたことない」と切り捨てていた経験のほうが、選考側に響くケースがよくあります。どのエピソードを主役に据えるかという最上流の判断は、対話の中でしか掘り起こせないことが多いのです。
だからこそ、AI添削を「文章を直す作業」だけで終わらせず、素材そのものを見直すきっかけにしてほしいと思います。AIの質問に答えているうちに「この経験、意外と話せることが多いな」と気づけたら、それだけで一歩前進です。
まとめ
ES添削は、AIを下ごしらえと壁打ちに使うと無料でもかなり進みます。ただしAI任せの文章は選考側に既視感を与えやすいので、必ず自分の言葉と具体的な事実に戻す工程を挟んでください。そして最後の「その企業に合っているか」の判断だけは、選考を知る人の目を入れると安心です。
骨子作りと構造チェックは無料ツールとAIで完結します。仕上げの添削——企業ごとの見せ方や、面接で崩れない表現への磨き込みまで一緒にやりたい方は、現役エージェントが対応します。